L*a*b*表色系 L*a*b*表色系は、いわゆるUCSの代表的なものです。UCSは、Uniform Color Spaceの略号です。日本訳では、「均等色空間」と言われます。UCSつまり均等色空間とは、心理的(色を見たとき)に、同じ色違いに見える色同士の距離(心理的な距離感)を均等にしてある色立体(=色空間)のことです。CIE(国際照明委員会)が1976年に推奨した色空間で、CIE1976(L*a*b*)表色系と呼ばれ、CIELABと略記されます。日本工業規格では、JIS Z 8729に規定されています。 たとえば、上の赤2色の色違いの度合いと、緑2色の色違いの度合いが、心理的に同じに見える時には、その2色間の距離を同じにするという考え方のもとに開発されたシステムです。色の並びが均等にできている、ということで、UCSと呼ばれます。このシステムの利点は、色違い(色差)が均等に測れる点です。つまり、製品の色彩管理に向いているわけです。色差が均等にできている性質のことを、等色差性といいます。等色差性を持つ代表的システムとしては、マンセル表色系があります。L*a*b*表色系は、そのマンセルシステムをモデルとして改良されてきたものですが、まだ完璧ではありません。しかし、等色差性をよく持っているので、現在では、マンセルシステムと並んで、産業界では非常によく使用されています。このL*a*b*に対して、XYZ表色系は等色差性を持っていませんので、色差の表示には向かないのです。 L*a*b*表色系は、XYZ表色系からの変換式が作られています。また、マンセル表色系は、XYZへの変換表が与えられていますので、それによって、マンセル−XYZ−L*a*b*への変換が可能になります。L*a*b*表色系の色立体のイメージは、下図のようになります。 図が2つありますが、最初に上の図です。L*a*b*表色系の色空間は球体として考えることができます。図は、その球体の1/4を切り取ったものです。この色空間を地球にたとえると、南北を貫く地軸にあたるものが、いわば明度の軸で、図では上が白、下が黒の無彩色が地軸に相当する部分です。この明度にあたるものがL*で、「明度指数」と呼ばれます。a*とb*は、その値によって、色相と彩度に相当する位置を示すことができます。a*とb*のことを「クロマティクネス指数」と言います。 例えば、色空間の中に、図のようにCという色があったとします。Cの位置から水平に線を延ばすと、それがL*となります。 次に、上図のCの位置の色を、球体の真上から見て、a*とb*の座標位置だけを表したものが下の図です。色相と彩度のイメージはちょうど図のように、a*b*が共に0の位置を原点とします。原点は無彩色。そこから遠ざかるほど、彩度が高くなり、鮮やかな色となります。 下の図で、線分OCの長さが彩度、a*の軸からの角度θで色相が示せます。明度はL*ですね。これら色相、明度、彩度に関するものを心理メトリック量と呼びます。そして、L*をメトリック明度、線分OCの長さ [= (a*×a*+b*×b*)^(1/2)]をメトリック彩度、θをメトリック色相角と呼びます。 色差は、ある2色の色空間の中での距離です。ですから、L*a*b*表色系での色差は、2色のL*の差、a*の差、b*の差をそれぞれ2乗して加え、その平方根をとれば求められます。 このサイトでは、「色出し名人」のプログラムの中に、この表色系での色を扱えるようにしてありますから、このページの図を頭に描きながら、色をご覧ください。 お礼:2002年1月29日以前まで掲載の左記の図のうち、上の図のa*,
b*の軸が逆になってるとのご指摘をいただきました。確認しましたところ確かに誤っておりましたので、修正してあります。 |